ずっと気になってる建物


何のことはない、船場センタービルです。
大阪万博の年、問屋街のド真ん中に高速道路を通すためにできた産物です。
特にこの場所から見るこの立面が気になる。とても堅牢で実直な造りは教会建築を思わせる。
初めに思い当たったのは「サンタ・マリア・ノヴェッラ」でした。
でも、何か違う。あの「かわいらしさ」はここにはない。もっとシンプルなもの。ロマネスクか?じゃ、「サン・ミニアト・アル・モンテ」はどうだ。確かに直線と円で構成された正面はシンプルといえる。でもあんなに軽やかじゃない。
で、今度は重厚さを求めてルネサンスはマニエリスム期の「イル・ジェス」。
荘厳ではあるけれど、やはり「手業(マニエラ)」に過ぎる。
ここで気が付く。気にはなるけど、美的琴線に触れたってわけではないことに。
しかも高速道路のことを全く考えてなかった。
通常は出会わないはずの2つの構築物。「問屋街」と「高速道路」。離して考えると、ちょっとスッキリしました。ビル本体は無骨で無粋なイギリス建築で。「チズウィック・ハウス」なんかがピッタリ来る。
で、あちこちへと湾曲して伸びる高速道路はバロックの歪んだ躍動感。
つまり、亜流のイギリス新古典主義に乗っかる本格派のイタリア・バロック。
違和感ありありだわな。気になるはずだ。

ずっと気になってる建物」への6件のフィードバック

  1. cova

    どうも。見てしまったら何か書きたくなって、、今更ですが。
    「亜流のイギリス新古典主義に乗っかる本格派のイタリア・バロック」っていうけど、「本格派」というには無理があると思う。だってホンモノじゃないし、格調高いわけでもないし。
    あのフレームを見てイタリアの教会堂ファサードを連想するのは分かる。ローマのサンティ・ヴィンチェンツォ・エ・アナスタジオ Ss. Vincenzo e Anastasio (cfr. http://www.nycerome.com/sig…) の浮き出たフレームの表現が似ている気がするなぁ。で、バロック好き?

  2. otokichi

    covaさん、どもです。
    正直、covaさん狙い打ち気味の書き込みでありました。
    中に元あった問屋をドーンと放り込んだ猥雑さがイギリスらしいのです。
    だから「チズウィック・ハウス」。ゴシック修道院の廃墟もいい。
    なんてったって国王の離婚のために撲滅されたのが猥雑だ。
    でもって上に乗っかるもの。
    プロテスタントの発生以降、実利的構造物こそ神性を宿すのだと信じます。
    それだからこその「イタリア・バロック」なのです。
    「マニエリスム」で可能性の提示があり、それを昇華し発散させた。
    だったら「ドイツ表現主義」もありなのかも。
    なんにせよカンブリア大爆発のような自由表現には魅力があります。
    だからバロック好きです。

  3. キボリン

    いやロマネスクというよりロボットのようなゴ-ンとした印象をうける。ヒーロー戦隊のロボ。鈍重な箱型のそれである。ロボデスクというべきか、ああっそういえばデスクマンというぼくの作品があっな。そんなことはさておい、これはガイキングの胸の部分に違いない!船場センタービル6号館B1で父が働いている息子が言うのであるから間違いない!

  4. otokichi

    おう、何でだ?と思ったら父君の職場でしたね、そうでした。
    船場センタービルの無理矢理感はガイキングよりコンバトラーVだと思う。

  5. cova

    船場センタービルって、もひとつ、こう、物悲しさを感じますなぁ。場所からいっても、人的な潜在的ポテンシャルからいっても、かなりな可能性を秘めているはず。でも、求心力、象徴性に欠ける。大阪の中心なんじゃないの? という気持ちがいつもあるわけで。
    猥雑 O.K. の自由さがバロックに通づるという話はその通りかも。ただ、ロボットに振ってしまうと、後が上手く続かない。あの表現が目貫通りに現れて、尚且つ愛されるなら、大阪の建築にも希望がもてると思う。ソウナッテホシイ。

  6. otokichi

    最近あの一帯は小売に転進するところが増えて賑わっているようです。
    ただ「大阪の中心」ではないようです。
    私の認識ではセレッソとガンバの線引きです。
    話し変わるけど、あそこの天牛書店はたまに掘り出し物があります。
    ベンチュリの原書が800円でありました。

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